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心理アブスト

このブログでは、心理学系の論文を簡単にまとめて紹介してます。 寝る前、電車の中など時間のある時に、更新している趣味ブログです。

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可逆操作の高次化における階層-段階理論2

前回の続きになります。


階層段階理論では、人間の発達において3つの発達段階があり、それをこえることで顕在化する大きな質的な変化を階層間の飛躍的移行と表現しており、その階層の中で獲得された力の働きが自由度を増し高次化していく変化を段階として捉えています。


この階層の違いを示す「鍵」になる概念が可逆操作であるとしています。
可逆操作について、田中先生は次のように定義されています。

外界の世界をとりいれ、新しい活動を作り出し、そうすることで、自ら内面を豊かにする営みにおける基本操作


この基本概念が少し難しいのです。
噛み砕いて表現をすると、
①主体が外界を操作することで、
②操作している主体が逆に操作されて
③変化をする状態
を可逆操作といいます。


つまり、
①赤ちゃんが外の世界に気がつき活動をすることで
②色々な出来事に気がついて
③関心の幅を広げていく
なんて言い換えても良いのかもしれません。

イメージとしては、
①赤ちゃんが音の鳴るおもちゃを見つけて手に取ると
②音が鳴ることに気がついて
③振る動作を繰り返していく

外界(おもちゃ)と内面との相互作用的な働きが新しい活動のきっかけとなるといった考え、この繰り返しがなされることで高次化していくと考えています。可逆操作について説明をしたところで、乳児期前半について一度整理をしたいと思います。


前回、すこしだけ紹介をしましたが、乳児期前半のことを『回転可逆操作の階層』とも呼びます。『回転可逆操作の階層』の『回転』については、またあとで詳しく説明をします。
回転可逆操作の階層には、3つの段階があります。以前説明をした『眠りと目覚め』を例にします。


第1段階(回転軸1可逆操作)
 昼と夜の区別が付いていない状態の時期

第2段階(回転軸2可逆操作)
 夜に8時間程度まとまって眠ってくれる時期

生活リズムの確率(新しい力の誕生)
 赤ちゃんが夜を手に入れる時期

第3段階(回転軸3可逆操作)
 昼の活動時間が増えていく時期

生理的自立(飛躍的移行)

このように3つの段階を経て、次の階層へと発展していきます。

さて、それではこの階層のメインテーマである『回転』について説明をします。文章が長くなるので、運動能力の発達は『中心から末端へ』という流れがあるということを念頭においた上で、読みすすめてください

これまで説明をしてきた乳児期前半の各段階、順序を見ていくと、第1段階の赤ちゃんは両脇を支えて持ち上げると頭はだらんとし、手も足も曲がっています。仰向けの段階で言えば『形態的非対称位』です。つまり、この段階では身体から頭、手、足を意図的に動かすことができない時期になります。赤ちゃんが仰向けやうつ向けの時に、正中線を中心にして回転させることができるのが身体を軸にしている時だけであることから、この時期を『回転軸1可逆操作』の段階と呼んでいます。

(これ、うちの子にそっくりなんです)


首がすわり始めるころには、原始反射も緩やかに弱くなっていきます。するとやってくるのは随意運動です。身体から分岐していた頭や手、足がある程度自由になりはじめます。その一つが、先ほどもあげた『首のすわり』です。手と手、足と足のふれあいがあるなどの『機能内連関性を持った形態的対称位』の段階になると、身体という1つの軸を基本としつつも、独立して動かすことが出来るようになった頭、手、足という軸を獲得したこの段階を、『回転軸2可逆操作』の段階と呼んでいます。

(本当にこんな感じでした)


2つの軸を獲得すると、次は手指の開きになります。例えば、赤ちゃんにおもちゃを差し出せば、おもちゃ正面として見て、腕を伸ばし、おもちゃに触れようと手指を広げて伸ばし、握ろうとします。縦と横、上下など『機能間連関性を持った形態的対称位』の段階を、『回転軸3可逆操作』の段階と呼んでいます。

(ちょっとベロが出てる所が可愛くないですか?)


操作という、外界への働きかけが必要になるため、可逆操作の段階を3つの回転軸で捉え、高次化していく様子をまとめたものが『回転可逆操作の階層』になります。


やっと基本的なところが説明できましたが、かなりの部分を省略しています。仰向けがあればうつ向けの段階もあり、座るという運動やモノを見るという感覚の段階など説明しきれていないものがたくさんあります。


要所要所で説明をしていくことがあるとは思いますが、すべてを説明し切ることはできないため、是非興味が湧いてきましたら、田中昌人先生の本を読んでみてください。


次は乳児期後半である『連結可逆操作の階層』について説明が出来ればいいな…と思っています。私が好きなところがまだまだまだまだ先にあるので、少し駆け足になります。お付き合い頂けますと幸いです。

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可逆操作の高次化における階層-段階理論1

田中昌人先生の「可逆操作の高次化における階層-段階理論」について、私なりの解釈を添えて、解説をしていこうと思います。


間違えもあるかもしれませんので、参考程度にご覧下さい。
まず、田中先生は、乳児期を前半と後半に分けています。
乳児期前半とは、生まれてから6,7ヶ月ごろとしていますが、月齢はあくまで目安であって、大切なのはこの乳児期前半の赤ちゃんが、どのようにして発達していくかが大切になります。
乳児期前半は、生まれてから正面を捉えられるようになり、向きを変えたり持ち替えたり、見返りが出来るまでの時期を指します。


うまれたばかりの赤ちゃんは、仰向けの状態で外の世界を見て、聞いて、感じ取っているわけです。


自分から移動することのできない赤ちゃんには、大人が抱っこをしたり、支え座りをさせたりして赤ちゃんに働きかけます。
その為、赤ちゃんは『育児』という助けを借りなければ生きていけない生き物なのです。

田中先生は、赤ちゃんは生まれることで3つの自由を手に入れられると考えました。
1つめは、『代謝の自由』の獲得です。
これまでへその緒で育まれてきた命ですが、肺で呼吸することができるようになり、口で栄養を得ることができるようになり、排泄もできるようになるということを『代謝の自由』としています。
2つめは、『感覚の自由』です。
見る、聞く、肌で感じるだけでなく、味覚や嗅覚を感じられるようになるなど、胎児期と比べると感受性が増大します。
3つめは、『活動の自由』です。
眠りと目覚めの生活リズムの獲得や、原始反射が消失していく中で、欲求に基づく随意運動(意図した活動)が行えるようになります。
これらの発達的自由が連関しあって増大していく過程を見ると、各機能の高次化に3つの順序があり、それが緩やかに連関しあい、3つの発達段階を形作っていくと考えました。
乳児期前半は、乳児期後半に移行する前段階とする飛躍的移行期までを『乳児期前半』としており、田中先生はこれを『乳児期前半の発達の階層』あるいは『生後第一の階層』としています。
これから時間をかけて説明をする『可逆操作の高次化における階層段階理論』では、この階層を『回転可逆操作の階層』としています。
いろんな漢字が出てきてイメージができないかもしれませんが、ここまでで把握して欲しい点は、


①生まれたら3つの自由が獲得できること
②色々な側面の成長が影響し合って、発達をしていくということ
③高次化とは、ある成長的出来事が見られるまでの過程であるということ
この3つになります。
これを踏まえたうえで、具体的にどのように赤ちゃんの発達を捉えているのか説明します。
一番イメージがしやすいのは、眠りと目覚めです。


生まれてすぐの赤ちゃんは昼夜のリズムがなく、1時間寝たら1時間くらい目覚めてまた眠るといった繰り返しが見られます。お父さんお母さんが育児の中で一番大変な時期かもしれませんね。


昼夜問わず、赤ちゃんの様子を見ていないといけないので、まとまって眠るのが難しいのです(難しかったです)。
しかし、3ヶ月頃になると、夜に8時間くらいしっかりと眠ってくれるようになります。


寝顔が可愛く見えるのは、まとまって寝てくれるという安堵も含まれているのかもしれません。夜寝てくれるようになると、日中の活動量も増えてきます。

この段階になると赤ちゃん様は夜を手に入れたといっても過言ではありません。夜を手に入れた赤ちゃん様は、次の段階に移行します。
5ヶ月頃になると、朝起きて活動(ごはんなど)して、午前中に眠ります。また起きて活動をして(やっぱりごはん)、お昼寝をします。また起きて活動をしながら段々とまどろみ、夜まとまって眠ってくれるようになるのです。

こうして昼夜のリズムを手に入れていくのです。
まとめると、


①昼夜を問わない無敵フェーズ
②夜を手に入れた赤ちゃん様フェーズ
③夜を確かなものにし、日中を活動する赤ちゃん様フェーズ
の3つの段階を経て、眠りと目覚めが成熟され始めます。
目覚め、が成熟されると活動の増加につながります。この3つの段階を念頭に置いたまま、次は運動面について話を進めます。
赤ちゃんはうまれてからしばらく、仰向けの状態で世界を見ています。この時、赤ちゃんの姿勢は非対称性が強く、


・どちらかの手があがっている
・顔が左右どちらかに向いている


といった状態が見られます。この時期の状態を『形態的非対称位』といいます。
我が子の似顔絵を知り合いに描いてもらいました。
めちゃくちゃ可愛い。


3ヶ月頃になると、首がすわり始め、顔が正面を向けるようになってきます。その上、左右を見ることが増え、手と手、足と足が対称になってきます。

(これも最高に可愛い)

いままでは原始反射で動いていた、不随意的な運動が多かった赤ちゃん様が、あれを持ちたい、これを触りたいなどの欲求に合わせて動くことが増えてきます。


こうした随意運動が増える反面、原始反射は緩やかに消失していきます。この時期の状態を『機能内連関性をもった形態的対称位』といいます。
随意運動が増えてくると、手と手、足と足という繋がり(横、あるいは左右)から、手と足といった繋がり(縦、あるいは上下)を獲得してきます。

(本当にそっくり。超可愛い)

この時期を『機能間連関性をもった機能的対称位』といい、活動の幅が大きく増えてきます。
今回は仰向けを例に挙げましたが、うつ伏せ、支え座りの状態も、


①形態的非対称位
②機能内連関性をもった形態的対称位
③機能間連関性をもった機能的対称位


といったような3つの順序性を持って発達していきます。

このような、ある状態から順番に何らかの変化を持って、例えば「座る」という活動を獲得していく過程を、『高次化』と考えることが出来るのではないでしょうか。
赤ちゃんは、一度獲得されると特別なこと(病気など)がない限り、発達の質的変化が下がるということはありません。「首がすわったけど、やっぱりやめてすわらんとこ」にはならないのです。
タイトルにある『可逆操作における高次化の階層段階理論』という可逆操作という概念が、階層の違いを示すための鍵となると、田中先生は言っていました。
ここまででおよそ2500文字。
そろそろ飽き始めてしまう文字数なので、今回はここまでです。


だいぶ咀嚼をしたので、ニュアンスが少し違うかもしれませんが致命的ではないと思います。
致命的な間違いがありましたら、やさしくご指摘ください。

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子どもは小さな研究者?

最近、一番下の子が「ある」「いる」と言うようになってきました。
それ以前は、「ない」「いや」と主張していたので、何かが「ある」ということを理解出来るようになったのは成長ではないかと感じています。
乳児発達の流れとして、そこにあるものが見えなくなるとそれは無いものになってしまい、それがそこになくても見えないだけであるという事が理解出来るようになることを「対象の永続性」の獲得なんて言いますね。
この「ある」「ない」で、私はふと、統計学を思い出しました。
統計学では、「ない」ことを帰無仮説とし、「ある」ことを対立仮説とすることが多いですね。
この無に帰したい仮説を、乳児期の子ども達は持って外界を見ており、目の前に「ない」訳では無いと、帰無仮説を棄却し、「ある」ことが分かった外界に対してこれは何が「ある」のかと対立仮説を証明する為に知識を蓄えている段階が、感覚運動期から前操作期にかけての知能の発達ではないかと妄想してみました。
妄想ではあるのですが、シェマの運用や分化、内在化なんかは、この過程をひたすら繰り返した結果なのかも知れません。
「ある」というだけで楽しめる子ども達の世界は、私が知的欲求を満たす過程と変わりないのだなぁと思いました。


2023年7月12日の朝7時に浮かんだ妄想の日記。

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子どもの絵から見る、心と身体の発達

子どもの発達は、

・首のすわりから歩行などの運動の発達
・喃語から三語文などの言葉の発達
・自己中心性から自己同一性といった心の発達

など、
色々な側面から成長の様子が伺えます。
そのうちのひとつとして、「絵」から見られる発達の過程についてご紹介します。
お子さんによって描き方や表現は
さまざまではありますが、
表現の発達は世界中の子どもたちで
共通していると言われています。

個人差が大きい絵の発達過程ですが、
一般的には4つの段階を経ていきます。
1.なぐり描き期(1歳~2歳頃)
なぐり描き期では、なにかを表現したいという意図を持って書いているわけではなく、クレヨンを握り、紙の上で動かすことで現れる跡に気がつき、その痕跡を楽しんでいます。



なぐり書きをする中で、『〇らしいやつ』『目、らしいもの』という表現の可能性に気がついてきます。


2.象徴期(2歳~3歳頃)
すると、〇に点が2つといった、円のようなものを「ママ」「パパ」「〇〇くん」と意味を持たせ始めます。また、複雑ななぐり描きができるようになり、色々な形が組み合わさることで、その絵に「えび」や「きのこ」などと、後から意味付けをするようになります。

そのようにして書いた絵を「きのこだよ!」と親にみせて反応を伺っているところも、可愛らしいところで、「本当だ。きのこだね」なんて言えば喜びますし、「これはなんだろう」といった顔やコメントをすれば、「ここが〇〇でね、ここが〇〇なの」などと形の特徴を表現するようになり、絵がよりそのものらしくなるように特徴を観察し強調するようになります。
(これはエビフライだそうです)



3.前図式期(3歳~4歳半頃)
この時期になると、より人の絵が人らしくなってきます。有名な絵として頭から直接手足が描かれる「頭足人」と呼ばれる図形があります。


(パパ。下にある3本の線はヒゲです)




また、ひとつの紙の中に、人や家、木、車など色々なアイテムが描かれるようになるのもこの時期です。その絵の中では、大小関係はなく、思うように表現されています。また、そこに描かれた絵には繋がりや因果関係、ストーリーはなく、描きたいものを描いているのです。その為、商品カタログのような紙面になることから、「カタログ期」と呼ばれることもあります。

4.図式期(4歳半~8歳頃)
この時期になると、1枚の紙に風景やカテゴリーが詰められたものなど、繋がりや因果関係、ストーリー性が表現されるようになります。また、5歳頃になると『地面』を描き始めるようになり、
外界をより詳しく理解できるようになってきます。
ただの動作による現象への遊びから、表現へと変化していく過程が絵から見えてくるのがとても面白いですね。

絵として表現をしていく為に、微細運動の発達が大切になります。絵を描くことだけでなく、道具を上手く操作し、思うように動かすことが出来るという経験が得られるかどうかで、その子の興味関心の幅に大きな影響を与えます。

興味関心の幅が、外界への意識、他者意識へと繋がるため、色々な遊びを通して心と身体を育むことが大切です。

スクールカウンセラーや教育相談所などで働く心理士さんは、グッドイナフ人物画知能検査のような人を描いてもらう絵や、風景構成法、バウムテストなどの描画検査でないと、絵らしい絵に出会うに機会は限定的で、掲示されている絵などを見る程度かもしれません。
新版K式発達検査2020や田中ビネーVなどでは、絵を描くことはなく、形の模写をする様子を見て、手と目の協調運動や微細運動、視空間認知などの力をアセスメントするようになります。

しかし、形の模写の中でも子どもの心の発達について考えることができます。田中昌人先生が提唱された「可逆操作の高次化における『階層―段階』理論」を学んでいく中で、丸を閉じる、十字(ばってん)をかくことの、心的過程を覗く手がかりになります。
ちょっと難しいお話になるので、気力があればいつかまとめようと思います。ご興味のある方は是非ご自身で学んでみて、私と一緒に子どもの発達を楽しみませんか?




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原因不明の赤ちゃんの夜泣きへの理解と対処方法

ミルクをあげることで落ち着いてくれれば
大助かりである赤ちゃんの夜泣きですが、

どうして泣き続けるのか分からず、
あやしているうちに親が寝てしまうなんて事が
私自身ありました。

こうした体験をされている方は、
少なくないのでは無いでしょうか。


ネットで調べると
愛情不足と書いている記事や
放置して良いと書いている記事など
実際にどうしたら良いか分からない情報で
溢れかえっていると思います。


ここでは、
夜泣きの要因として考えられる要因の1つ
「乳児疝痛(にゅうじせんつう)」
についてのお話をしたいと思います。


乳児疝痛(にゅうじせんつう)とは、
簡単に言うと赤ちゃんの腹痛です。
原因不明の夜泣きは、
お腹が痛くて泣いている可能性があるのです。

特に、粉ミルクの割合が多い場合、
腸内環境が整いにくいことがあるようです。


粉ミルクが悪いから完全母乳にするのではなく、
足りないものを補ってあげることで
夜泣きの頻度を減らしていくことが出来ると良いですね。

Lactobacillus rhamnosus GG (ATCC 53103) for the Management of Infantile Colic: A Randomized Controlled Trial
という2020年の論文では、

腸内環境を整えてあげることで、
睡眠の質が上がり、
夜泣きの回数も減ったと報告されています。

ビーンスタークという
粉ミルクメーカーでは、
ビフィズス菌を補うことが出来る
サプリメントを販売してます。



日本では、
法律の関係上、
粉ミルクの中に乳酸菌を最初から入れることが出来ないため、
このようにサプリメントで補う必要があります。

我が家はこのサプリメントで、
夜泣きが大幅に減りました。

もしお困りの方がいらっしゃいましたら、
試してみてください。
赤ちゃんの腹痛が良くなって、
親御さんもゆっくりと眠ることができる時間を
増やすことが出来ると良いですね。



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性衝動に悩まれている方へ ジャニーズ 性被害を通じて

最近、世間を騒がせている話題について、
ジャニーズの櫻井翔さんが
テレビでコメントされているのを見ました。
この記事では、
橋田康さんを中心に話題となっている
ニュースについてでは無く、
その背景要因として考えられる特徴が、
広く知られることや、
その背景要因に悩まれている方々への気づきに繋がればと思っております。


性的に未成熟な子供に興奮する、
無理矢理性行為に及ぶと興奮する、
人に見せない部分を無防備にさらす姿に興奮する、
使用済みの下着に興奮するなど、
性の嗜好性に偏りがあり、
何らかの問題が生じている状態のことを、
アメリカ精神医学会の作成した、
心の病気に関する診断基準(DSM-5)では、
性嗜好障害(パラフィリア障害)と呼ばれています。

ここでいう、
何らかの問題とは、
・性的興奮を得るために子供と性的行為に及ぶ
・強姦する
・風呂場を覗く
・下着を盗む
などの、反社会的行為に及べば他者への危害を加えたことになるため障害とみなすとされています。
また実際に行為に及んでいなくても、
上記の欲求や衝動を抱えている状態に本人が精神的な苦痛を感じる場合にも障害とみなすとされています。
しかし、苦痛を感じておらず、
問題も起こしていない場合は、治療の対象とはならないとされています。
例えば、痴漢や盗撮の企画モノのAVをみる、成人向けの漫画を読む、同意を得てパートナーの下着をもらうといった行為で性的興奮を得ている人などが考えられます。
つまり、倫理的・社会的に逸脱をせず満たすことが出来ていれば、障害に当たらないとされています。合意を得た適切な関係性の中で、お互いが楽しめる形で性生活を営むことが出来ると良いですね。
触る、見る、撮る、嗅ぐなど、
合意が無い相手に対して、
反復的に性的欲求を満たしてしまう場合は、
相手のためにも、そして御自身のためにも、
専門の医療機関でご相談されることをオススメします。
また、願望を持っているだけでは障害にあたりませんが、その願望の強さによって悩まれている方も、1人で抱え込まず専門の医療機関にご相談ください。

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【ChatGPT】令和5年度公認心理師試験予想問題

ChatGPTとはアメリカはサンフランシスコ州発、人工知能の研究を行うOpenAI(オープンエーアイ)社が開発した対話型のAIツールです。

このAIツールに、
令和5年度公認心理師試験の予想問題を
作ってもらいました( ◜ᴗ◝)
過去の問題傾向から予測をしてくれていますが、
あくまでAIの作った問題である為、
勉強の息抜きに、遊んでみてください。










問題1.
ある大学生が、複数のテストで成績が低いことに悩んでいます。相談者は高校生の時には勉強が得意だったため、現在の自分の状況に不安を感じています。相談者は自分で勉強していると感じるのに成績が上がらないと悩んでおり、勉強法を改善する方法を相談してきました。この状況において、次のうちどの選択肢が適切でしょうか。

a) 相談者に対して、詳細な勉強計画の作成を支援する。
b) 相談者に対して、集中力を高めるための呼吸法を教える。
c) 相談者に対して、学習意欲を高めるために、やりたいことを明確にする練習をする。
d) 相談者に対して、過去のテスト結果から問題を洗い出し、優先的に対策を立てる。


⬇回答と解説になります。










正解は、d) 相談者に対して、過去のテスト結果から問題を洗い出し、優先的に対策を立てる。
解説:
相談者は自分で勉強していると感じるのに成績が上がらないと悩んでおり、勉強法を改善する方法を相談してきました。この状況において、問題の原因を特定して、優先的に対策を立てることが必要です。過去のテスト結果から問題を洗い出し、その問題に対する対策を優先的に立てることで、成績を上げることができるでしょう。しかし、他の選択肢にも効果があるかもしれません。たとえば、a) の詳細な勉強計画の作成や、c) の学習意欲を高めるための練習は、相談者が勉強する上で役立つかもしれません。しかし、これらの対策を立てる前に、問題の原因を特定し、優先的に対策を立てることが重要です。b) の集中力を高めるための呼吸法は、勉強する上で有用なテクニックですが、この問題の解決に直接的な効果はありません。



次の問題です。










問題2
ある30代男性が、うつ病の治療を受けています。治療期間中、医師から抗うつ薬の処方を受けていますが、服薬後に吐き気やめまいを感じるようになりました。相談者は、副作用によって治療を継続することに抵抗を感じており、治療をやめることを考えています。相談者に対して、適切な対応をするのに最も適切な選択肢はどれでしょうか。

a) 相談者に対して、副作用が治療の効果を上回る場合は、医師に相談するようアドバイスする。
b) 相談者に対して、治療を続けることが大切であると説得する。
c) 相談者に対して、副作用が出る可能性のある別の薬剤を処方するよう医師に相談する。
d) 相談者に対して、医師に相談して治療方針を見直すことを提案する。
以上の選択肢の中から、最も適切なものを選んでください。


⬇回答と解説になります。













【回答】
a) 相談者に対して、副作用が治療の効果を上回る場合は、医師に相談するようアドバイスする。



【解説】
相談者が抗うつ薬の副作用で治療を継続することに抵抗を感じているため、最も適切な対応は、副作用が治療の効果を上回る場合は医師に相談するようアドバイスすることです。治療を続けることが大切であると説得するのではなく、相談者の気持ちを尊重して、医師と一緒に副作用の軽減策を模索することが必要です。また、治療効果や副作用に関する情報は医師と相談者とで共有されるべきであるため、医師に相談することが必要です。したがって、適切な選択肢はa) 相談者に対して、副作用が治療の効果を上回る場合は、医師に相談するようアドバイスすることになります。


以上です。
如何だったでしょうか。
私はコピペをしただけで、問題文を読んだり解いたりはしていないです。
問題らしくなっていましたか?
とても面白いツールですので、
是非ChatGPTを使って遊んでみてください。
















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思考の発達 ピアジェの発達段階論を基に、これまでのまとめ











これまで、言葉と運動について触れてきたため、次は思考についてまとめようと思います。

発達心理学者のピアジェは、子どもたちの観察から、
思考が4つの段階を経て発達していくことを明らかにしました。
前回までの記事では、2歳頃までの発達について触れてきたため、
今回は生まれてから2歳頃までについての時期である、
『感覚運動期』を基に整理していきたいと思います。


1.感覚運動期
頭ではなく、身体を使って考える時期
みる、さわる、なめる、たたくなど、その結果生じる感覚を通して外の世界を知る
このような思考を、ピアジェは感覚運動的知能と呼び、さらに6段階に分けました。

第一段階:反射の行使(誕生~1ヶ月)
 原始反射により、外界との接触が始まります。(原始反射についてはこちら
 反射に過ぎなかった行為が、次第に能動的、適応的なものへと変化していきます。
 例えば、初めは把握反射に過ぎなかったが、
 次第にものを上手につかめるようになるような変化が見られてきます。


第二段階:第一次循環反応(1~4ヶ月)
 みる、すう、つかむ、聞くなど、単純な動作が出来るようになると、
 偶然それらが結びつくことにより循環反応が生じます。
 例えば、「親指が口元にふれる」「吸う」という動作が結びつきにより、
 指しゃぶりになっていきます。

第三段階:第二循環反応(4~8ヶ月)
 ものを見て、掴む、口元へ運ぶといった動作が見られる時期です。
 目と手の協応が成立することで、自分の身体以外の「もの」が、
 赤ちゃんの世界に入ってきます。
 ものを見て、掴んで、口元に運ぶことを楽しんでいると、
 ふとした時に、おもちゃを落としたとします。
 偶然それが音の鳴るおもちゃだったとき、
 ただ手にとること、掴むこと、なめることを楽しんでいた赤ちゃんが、
 手を話したことで、ものが落ち、音が鳴るということに気がつきます。
 これにより、自分の世界だけでなく、外の世界に関心を向けるようになるのです。
 この偶然の結果を、確認するようにして何度も同じ行動をとるようになります。

第四段階:第二次循環反応の協応(8~12ヶ月)
 手段と目的が分化され始める時期です。
 これまで獲得した反応パターンを協応させて、目的をかなえようとします。
 例えば、少し高いところにあるナニカを見つけたとき、
 寝返りやハイハイを駆使してナニカに近づき、
 掴む行為から、立ち上がる行為へとつながり、ナニカをとる目的を達成させます。 
 色々な反応パターンから、新しい掴まり立ちという行為を獲得していき、
 さらに行動の範囲を広げていきます。
 また、共同注意が見られる時期でもあります。(共同注意についてはこちら
 「あっ」といって、ナニカに対して指を指すと、大人はナニカを言い始める。
 このやりとりを楽しむ中で、『言葉』の存在により注意が向くようになります。


第五段階:第三次循環反応(12~18ヶ月)
 行為と結果の結びつきを『実験』しながら学んでいく時期です。
 ボール遊びでは、転がす・落として弾ませるなど、
 自分の行為が、どのような結果をもたらすのか、繰り返しながら、
 結果を予測できるようになっていきます。
 試行錯誤を繰り返すことで、新しい手段・方法が獲得されていきます。

第六段階:心的表象の発現(18~24ヶ月)
 『洞察』が始まる時期です。
 頭の中でイメージを浮かべて考えることが発達してくることで、
 これまで身体を使って行っていたことを、頭の中でするようになります。
 頭の中で考えて、より状況にあった行為をとることが出来るようになります。

感覚運動期の特徴として、対象の永続性の獲得があげられます。
第四段階頃から獲得され始めるものです。
例えば、赤ちゃんにおもちゃを見せ、興味を示した時に布で隠してしまうと、
8ヶ月くらいの赤ちゃんはおもちゃを探そうとせず、
おもちゃが無かったかのような振る舞いを見せます。
しかし、第四段階以降(8ヶ月以降)になると、
布をとっておもちゃを探し出せるようになっていくとされています。
しかし、この段階では、隠される場所が移動するのを見ても、
移動先ではなく、元の場所を探し続けてしまいます。
この二重の移動が理解できるのは、感覚運動期の最終段階になります。















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喫煙とADHD症状について











私は頭の中で何かを考えている事が多く、
疲れたなぁと感じることがありました。


この記事を書くきっかけになったのは、
2023年1月19日から禁煙を始めたことからでした。
1度だけ煙を呑んでしまいましたが、
それ以降喫煙をせず、
約1ヶ月程タバコを手放すことが出来ています。


これまで1日35本前後のタバコを吸っていましたが、
禁煙を始めてから頭の中で何も考えていない時間があることに気が付きました。

そういった体験から論文を漁り、
この記事を書きながら整理していこうと考えました。

喫煙が※ADHDにもたらす影響については、
まだ明確にされているものではありません。
あくまで体験したことからの興味関心を記事にまとめているだけに過ぎません。

その点を考慮した上で、
ご覧いただければと思います。

※ADHDとは注意力、衝動性、多動性に関する問題を含む注意欠陥/多動性障害です。










喫煙は、注意力を低下させ、不安やイライラを増加させることが知られています。

そのため、喫煙が既にADHDの症状を持つ人々にとって、症状を悪化させる可能性があります。


菅原敬一, 遠藤裕幸, 田口英幸, 金杉明子, 菊地伸宏, 山下賢治. ADHD 症状に対する喫煙と飲酒の影響に関する研究. 2015. 精神神経学雑誌. 117(11), 893-904.

では、
成人のADHD患者と非ADHD対象者に対して、
自己申告による喫煙や飲酒の状況、ADHD症状、うつ病症状などの関連について検討しています。

この論文では、ADHD患者は非ADHD者に比べて、喫煙率が高いことが示唆されました。


また、ADHD患者の中で喫煙している人は、していない人に比べて注意欠陥・多動性症状が重かったことも明らかになりました。


具体的には、
・情報の処理が遅れる
・細かい注意力が続かない
・活動に集中しづらい

・落ち着きがない
・言動が先走る
・危険を冒してでも刺激を求める

といった面で、より強く表れると報告されています。










タバコを吸うことで、気持ちがリラックスしたような感覚を得たり、集中しやすくなる感覚が得られたりと、体感としてはメリットも多いように思われます。

しかしながら、それは喫煙時による一時的なものであり、長期的にはADHD症状を悪化させている可能性が考えられます。

禁煙をすること自体がとてもストレスフルで、禁煙する方が精神衛生上悪影響だと思っていた時期もありました。

しかし、今現在としては、頭痛や倦怠感、疲れやすいといった自覚症状は無くなり、仕事への集中、思考の整理のしやすさ、言語化のしやすさなどの生活面に良い影響が見られるようになりました。

その為、成功体験が増えたり、仕事の効率が上がったことで余裕もうまれたりしたことから、ストレスを感じにくくなり、休日はこれまでよりも活発に動けるようになりました。



最後に私の経験的なものを述べてしまっていますが、私はこのような現状にあるため、禁煙をして良かったと考えています。


私と同じように、頭の中が忙しいと感じる感覚や
、言動が先走ってしまうこと、情報処理能力が悪いように感じるなどの感覚が見られる方は、1度タバコを手放してみては如何でしょうか。


私と一緒に、禁煙頑張りましょう。


今日も、これからも多分、タバコは吸いたいであろう私による思考の整理でした。


ここまで見て下さりありがとうございました。








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何故私がこんな目にと考えた時の為の、究極的意味技法の活用 Approaching Worldview Structure with Ultimate Meanings Technique











Approaching Worldview Structure with Ultimate Meanings Technique
究極意味技法で世界観構造に迫る
著者:Dmitry A. Leontiev
https://doi.org/10.1177/0022167806293009


人は辛い経験をしたり、喪失体験をしたりなど、
ストレスを感じると、「なぜ」と問うことがあります。

では、何故このように、人は人生に意味を問うのでしょうか。
人生の意味を問うことは、人間にとって普遍的な課題の一つであるとされており、人間の本質的な問いの一つとも考えられています。


人は、自分自身が生きる意味を見つけることで、自分自身についての理解を深め、心の安定や生きがいを見出すことができます。


また、人生の意味を問うことは、人生の目的を見つけるための重要な手段となる場合があります。
さらに、人生の意味を問うことは、個人だけでなく、社会的、文化的な意味を持つことがあります。人生の意味は、文化や社会の慣習や価値観によっても異なるため、人生の意味を問うことは、個人だけでなく、社会や文化についても考えることができます。
この為、人生の意味を問うことは、人生において重要な変化や転換点に直面したときにも役立ちます。人生の意味を見つけることで、自分自身にとって大切なことや、自分の人生において重要なことを再評価することができます。


つまり、人生の意味を見つけることで、自分自身の人生に対する方向性を見いだすことができる場合があります。

人生の意味を問うから得られる臨床的意義として、自己理解やアイデンティティの形成につながると考えられています。










人生の意味を問うことで、自分自身の価値観や信念、人生における目的や意義についての洞察を得ることができます。これによって、自己理解やアイデンティティの確立に役立つとされています。


また、人生の意味を問うことは、ストレスやうつ病などの精神的な問題に対するセラピーとしても有効とされています。


例えば、人生の意味を見失ったり、人生において重要なものを見失ったりした場合には、心のバランスを崩すことがあります。


人生の意味を問うことで、自分自身の人生における価値や目的、人生において大切なものを再確認することができ、自己肯定感を高め、ストレスやうつ病の緩和につながるとされています。

Ultimate Meaning Technique(UMT)の心理臨床的効果については、いくつかの研究が行われています。
UMTを用いた認知行動療法と標準的な認知行動療法を比較したところ、UMTグループは自己評価や自己効力感、生活満足度の向上、うつ症状の軽減などの良好な結果が得られたと報告されています(Aslani et al., 2017)。

また、別の研究では、UMTを用いた意味志向療法が、がん患者のQOL(生活の質)の向上につながることが示されています(Van der Spek et al., 2017)。


これらの研究からは、UMTが心理臨床的な効果をもたらす可能性があることが示唆されています。

しかしながら、UMTの臨床的活用についての研究は少なく、より多くの研究が必要であり、現時点ではUMTの心理臨床的な効果についてはまだ確定的な結論を得るには至っていないとされています。


特に、重度の精神障害を抱えている人、自殺リスクがある人、あるいは極端に不安や恐怖を抱えている人は、UMTを行う前に他の治療を受ける必要がある場合があります。また、過去に心的外傷を経験した人には、UMTを行う前に専門的なカウンセリングが必要である場合があります。










まだまだ開発途上のような技法ではありますが、
UMTは、自己探究や人生の意味探しに役立つとされており、そのプロセスがストレスを軽減することがあるとされています。


UMTは、自分自身の人生についての考えを整理し、自分自身の価値観や目標を再確認し、人生の方向性を見出すことができるため、それによってストレスや不安を軽減することができるかもしれません。


人生の意味を見出すことで、人のQOLは高まることが知られていますが、
人生の意味を探求する過程は、人が出来るストレスを軽減させる為のひとつの方略なのです。


頭の中で色々な考えが巡ってしまうのであれば、
UMTにより、自身の価値観を顕在化していくことも考えられます。


ただし、1人で考え込まず、周囲の人や臨床心理士や精神科医などの専門家に相談することを忘れてはいけません。

論文はこちら

参考文献
Aslani, K., Hassanabadi, H., & Bahrami, F. (2017). The effect of ultimate meaning therapy on quality of life and spiritual well-being of patients with breast cancer: A randomized controlled clinical trial. European Journal of Integrative Medicine, 15, 16-22.
この研究では、乳がん患者にUMTを行うことが、QOLおよび精神的・宗教的な健康にどのような影響を与えるかを調べたランダム化比較試験が行われました。結果として、UMTを受けたグループは、対照群と比較してQOLと精神的・宗教的な健康が向上したと報告されています。
Van der Spek, N., Vos, J., van Uden-Kraan, C. F., Breitbart, W., Cuijpers, P., Knipscheer-Kuipers, K., & Verdonck-de Leeuw, I. M. (2017). Meaning-centered psychotherapy in cancer patients: a systematic review and meta-analysis. Psycho-Oncology, 26(3), 377-387.
この研究では、がん患者にUMTを行うことが、意味志向療法においてどのような効果をもたらすかを検討したシステマティックレビューとメタ分析が行われました。結果として、UMTを受けたグループは、うつ病、不安、ストレスなどの症状が有意に軽減したと報告されています。また、UMTを受けた患者は、治療前と比較して、人生の意味や目的についてより深く考えるようになったという報告もありました。









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