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心理アブスト

このブログでは、心理学系の論文を簡単にまとめて紹介してます。 寝る前、電車の中など時間のある時に、更新している趣味ブログです。

場面緘黙児の下位類型化の試み: SCQ,CCC-2,SCAS を用いて

著者:臼井なずな・大井学
コミュニケーション障害学2023年第40巻3号の148ページに掲載された論文です。

この論文は、場面緘黙児22名を対象に、自閉症特性(SCQ)コミュニケーション力(CCC-2)不安症状(SCAS)の得点を用いてクラスター分析を行い、背景要因の異なる3つの下位グループを分類しています。

結果として、
①相対的に高いコミュニケーション力を示す群
 →不安以外の併存症が少ない
②相対的に高い自閉症特性を示す群
 →ASDの併存が疑われる
③高い不安症状を示す群が抽出されました。
 →複数の不安症状を併発している
といったように分けられました。

①は、純粋な場面緘黙児であると考えられ、特定の場面による不安の発生が緘黙に繋がると考えられています。
②は、ASD傾向に由来するコミュニケーション困難さと社交場面での不安から緘黙に繋がると考えられています。
③は、ASD傾向はなく、コミュニケーション能力の低さから社交場面への不安が発生し緘黙に繋がると考えられています。

学校場面では喋らないから緘黙とされることが多く、背景要因が見過ごされるパターンがあります。
私としてはこの3群だけでなく、家庭環境や機能的問題による要因もあると考えるため、その子の要因を探っていく作業が大切だと考えます。

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