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心理アブスト

このブログでは、心理学系の論文を簡単にまとめて紹介してます。 寝る前、電車の中など時間のある時に、更新している趣味ブログです。

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可逆操作の高次化における階層-段階理論2

前回の続きになります。


階層段階理論では、人間の発達において3つの発達段階があり、それをこえることで顕在化する大きな質的な変化を階層間の飛躍的移行と表現しており、その階層の中で獲得された力の働きが自由度を増し高次化していく変化を段階として捉えています。


この階層の違いを示す「鍵」になる概念が可逆操作であるとしています。
可逆操作について、田中先生は次のように定義されています。

外界の世界をとりいれ、新しい活動を作り出し、そうすることで、自ら内面を豊かにする営みにおける基本操作


この基本概念が少し難しいのです。
噛み砕いて表現をすると、
①主体が外界を操作することで、
②操作している主体が逆に操作されて
③変化をする状態
を可逆操作といいます。


つまり、
①赤ちゃんが外の世界に気がつき活動をすることで
②色々な出来事に気がついて
③関心の幅を広げていく
なんて言い換えても良いのかもしれません。

イメージとしては、
①赤ちゃんが音の鳴るおもちゃを見つけて手に取ると
②音が鳴ることに気がついて
③振る動作を繰り返していく

外界(おもちゃ)と内面との相互作用的な働きが新しい活動のきっかけとなるといった考え、この繰り返しがなされることで高次化していくと考えています。可逆操作について説明をしたところで、乳児期前半について一度整理をしたいと思います。


前回、すこしだけ紹介をしましたが、乳児期前半のことを『回転可逆操作の階層』とも呼びます。『回転可逆操作の階層』の『回転』については、またあとで詳しく説明をします。
回転可逆操作の階層には、3つの段階があります。以前説明をした『眠りと目覚め』を例にします。


第1段階(回転軸1可逆操作)
 昼と夜の区別が付いていない状態の時期

第2段階(回転軸2可逆操作)
 夜に8時間程度まとまって眠ってくれる時期

生活リズムの確率(新しい力の誕生)
 赤ちゃんが夜を手に入れる時期

第3段階(回転軸3可逆操作)
 昼の活動時間が増えていく時期

生理的自立(飛躍的移行)

このように3つの段階を経て、次の階層へと発展していきます。

さて、それではこの階層のメインテーマである『回転』について説明をします。文章が長くなるので、運動能力の発達は『中心から末端へ』という流れがあるということを念頭においた上で、読みすすめてください

これまで説明をしてきた乳児期前半の各段階、順序を見ていくと、第1段階の赤ちゃんは両脇を支えて持ち上げると頭はだらんとし、手も足も曲がっています。仰向けの段階で言えば『形態的非対称位』です。つまり、この段階では身体から頭、手、足を意図的に動かすことができない時期になります。赤ちゃんが仰向けやうつ向けの時に、正中線を中心にして回転させることができるのが身体を軸にしている時だけであることから、この時期を『回転軸1可逆操作』の段階と呼んでいます。

(これ、うちの子にそっくりなんです)


首がすわり始めるころには、原始反射も緩やかに弱くなっていきます。するとやってくるのは随意運動です。身体から分岐していた頭や手、足がある程度自由になりはじめます。その一つが、先ほどもあげた『首のすわり』です。手と手、足と足のふれあいがあるなどの『機能内連関性を持った形態的対称位』の段階になると、身体という1つの軸を基本としつつも、独立して動かすことが出来るようになった頭、手、足という軸を獲得したこの段階を、『回転軸2可逆操作』の段階と呼んでいます。

(本当にこんな感じでした)


2つの軸を獲得すると、次は手指の開きになります。例えば、赤ちゃんにおもちゃを差し出せば、おもちゃ正面として見て、腕を伸ばし、おもちゃに触れようと手指を広げて伸ばし、握ろうとします。縦と横、上下など『機能間連関性を持った形態的対称位』の段階を、『回転軸3可逆操作』の段階と呼んでいます。

(ちょっとベロが出てる所が可愛くないですか?)


操作という、外界への働きかけが必要になるため、可逆操作の段階を3つの回転軸で捉え、高次化していく様子をまとめたものが『回転可逆操作の階層』になります。


やっと基本的なところが説明できましたが、かなりの部分を省略しています。仰向けがあればうつ向けの段階もあり、座るという運動やモノを見るという感覚の段階など説明しきれていないものがたくさんあります。


要所要所で説明をしていくことがあるとは思いますが、すべてを説明し切ることはできないため、是非興味が湧いてきましたら、田中昌人先生の本を読んでみてください。


次は乳児期後半である『連結可逆操作の階層』について説明が出来ればいいな…と思っています。私が好きなところがまだまだまだまだ先にあるので、少し駆け足になります。お付き合い頂けますと幸いです。

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可逆操作の高次化における階層-段階理論1

田中昌人先生の「可逆操作の高次化における階層-段階理論」について、私なりの解釈を添えて、解説をしていこうと思います。


間違えもあるかもしれませんので、参考程度にご覧下さい。
まず、田中先生は、乳児期を前半と後半に分けています。
乳児期前半とは、生まれてから6,7ヶ月ごろとしていますが、月齢はあくまで目安であって、大切なのはこの乳児期前半の赤ちゃんが、どのようにして発達していくかが大切になります。
乳児期前半は、生まれてから正面を捉えられるようになり、向きを変えたり持ち替えたり、見返りが出来るまでの時期を指します。


うまれたばかりの赤ちゃんは、仰向けの状態で外の世界を見て、聞いて、感じ取っているわけです。


自分から移動することのできない赤ちゃんには、大人が抱っこをしたり、支え座りをさせたりして赤ちゃんに働きかけます。
その為、赤ちゃんは『育児』という助けを借りなければ生きていけない生き物なのです。

田中先生は、赤ちゃんは生まれることで3つの自由を手に入れられると考えました。
1つめは、『代謝の自由』の獲得です。
これまでへその緒で育まれてきた命ですが、肺で呼吸することができるようになり、口で栄養を得ることができるようになり、排泄もできるようになるということを『代謝の自由』としています。
2つめは、『感覚の自由』です。
見る、聞く、肌で感じるだけでなく、味覚や嗅覚を感じられるようになるなど、胎児期と比べると感受性が増大します。
3つめは、『活動の自由』です。
眠りと目覚めの生活リズムの獲得や、原始反射が消失していく中で、欲求に基づく随意運動(意図した活動)が行えるようになります。
これらの発達的自由が連関しあって増大していく過程を見ると、各機能の高次化に3つの順序があり、それが緩やかに連関しあい、3つの発達段階を形作っていくと考えました。
乳児期前半は、乳児期後半に移行する前段階とする飛躍的移行期までを『乳児期前半』としており、田中先生はこれを『乳児期前半の発達の階層』あるいは『生後第一の階層』としています。
これから時間をかけて説明をする『可逆操作の高次化における階層段階理論』では、この階層を『回転可逆操作の階層』としています。
いろんな漢字が出てきてイメージができないかもしれませんが、ここまでで把握して欲しい点は、


①生まれたら3つの自由が獲得できること
②色々な側面の成長が影響し合って、発達をしていくということ
③高次化とは、ある成長的出来事が見られるまでの過程であるということ
この3つになります。
これを踏まえたうえで、具体的にどのように赤ちゃんの発達を捉えているのか説明します。
一番イメージがしやすいのは、眠りと目覚めです。


生まれてすぐの赤ちゃんは昼夜のリズムがなく、1時間寝たら1時間くらい目覚めてまた眠るといった繰り返しが見られます。お父さんお母さんが育児の中で一番大変な時期かもしれませんね。


昼夜問わず、赤ちゃんの様子を見ていないといけないので、まとまって眠るのが難しいのです(難しかったです)。
しかし、3ヶ月頃になると、夜に8時間くらいしっかりと眠ってくれるようになります。


寝顔が可愛く見えるのは、まとまって寝てくれるという安堵も含まれているのかもしれません。夜寝てくれるようになると、日中の活動量も増えてきます。

この段階になると赤ちゃん様は夜を手に入れたといっても過言ではありません。夜を手に入れた赤ちゃん様は、次の段階に移行します。
5ヶ月頃になると、朝起きて活動(ごはんなど)して、午前中に眠ります。また起きて活動をして(やっぱりごはん)、お昼寝をします。また起きて活動をしながら段々とまどろみ、夜まとまって眠ってくれるようになるのです。

こうして昼夜のリズムを手に入れていくのです。
まとめると、


①昼夜を問わない無敵フェーズ
②夜を手に入れた赤ちゃん様フェーズ
③夜を確かなものにし、日中を活動する赤ちゃん様フェーズ
の3つの段階を経て、眠りと目覚めが成熟され始めます。
目覚め、が成熟されると活動の増加につながります。この3つの段階を念頭に置いたまま、次は運動面について話を進めます。
赤ちゃんはうまれてからしばらく、仰向けの状態で世界を見ています。この時、赤ちゃんの姿勢は非対称性が強く、


・どちらかの手があがっている
・顔が左右どちらかに向いている


といった状態が見られます。この時期の状態を『形態的非対称位』といいます。
我が子の似顔絵を知り合いに描いてもらいました。
めちゃくちゃ可愛い。


3ヶ月頃になると、首がすわり始め、顔が正面を向けるようになってきます。その上、左右を見ることが増え、手と手、足と足が対称になってきます。

(これも最高に可愛い)

いままでは原始反射で動いていた、不随意的な運動が多かった赤ちゃん様が、あれを持ちたい、これを触りたいなどの欲求に合わせて動くことが増えてきます。


こうした随意運動が増える反面、原始反射は緩やかに消失していきます。この時期の状態を『機能内連関性をもった形態的対称位』といいます。
随意運動が増えてくると、手と手、足と足という繋がり(横、あるいは左右)から、手と足といった繋がり(縦、あるいは上下)を獲得してきます。

(本当にそっくり。超可愛い)

この時期を『機能間連関性をもった機能的対称位』といい、活動の幅が大きく増えてきます。
今回は仰向けを例に挙げましたが、うつ伏せ、支え座りの状態も、


①形態的非対称位
②機能内連関性をもった形態的対称位
③機能間連関性をもった機能的対称位


といったような3つの順序性を持って発達していきます。

このような、ある状態から順番に何らかの変化を持って、例えば「座る」という活動を獲得していく過程を、『高次化』と考えることが出来るのではないでしょうか。
赤ちゃんは、一度獲得されると特別なこと(病気など)がない限り、発達の質的変化が下がるということはありません。「首がすわったけど、やっぱりやめてすわらんとこ」にはならないのです。
タイトルにある『可逆操作における高次化の階層段階理論』という可逆操作という概念が、階層の違いを示すための鍵となると、田中先生は言っていました。
ここまででおよそ2500文字。
そろそろ飽き始めてしまう文字数なので、今回はここまでです。


だいぶ咀嚼をしたので、ニュアンスが少し違うかもしれませんが致命的ではないと思います。
致命的な間違いがありましたら、やさしくご指摘ください。

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子どもは小さな研究者?

最近、一番下の子が「ある」「いる」と言うようになってきました。
それ以前は、「ない」「いや」と主張していたので、何かが「ある」ということを理解出来るようになったのは成長ではないかと感じています。
乳児発達の流れとして、そこにあるものが見えなくなるとそれは無いものになってしまい、それがそこになくても見えないだけであるという事が理解出来るようになることを「対象の永続性」の獲得なんて言いますね。
この「ある」「ない」で、私はふと、統計学を思い出しました。
統計学では、「ない」ことを帰無仮説とし、「ある」ことを対立仮説とすることが多いですね。
この無に帰したい仮説を、乳児期の子ども達は持って外界を見ており、目の前に「ない」訳では無いと、帰無仮説を棄却し、「ある」ことが分かった外界に対してこれは何が「ある」のかと対立仮説を証明する為に知識を蓄えている段階が、感覚運動期から前操作期にかけての知能の発達ではないかと妄想してみました。
妄想ではあるのですが、シェマの運用や分化、内在化なんかは、この過程をひたすら繰り返した結果なのかも知れません。
「ある」というだけで楽しめる子ども達の世界は、私が知的欲求を満たす過程と変わりないのだなぁと思いました。


2023年7月12日の朝7時に浮かんだ妄想の日記。

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子どもの絵から見る、心と身体の発達

子どもの発達は、

・首のすわりから歩行などの運動の発達
・喃語から三語文などの言葉の発達
・自己中心性から自己同一性といった心の発達

など、
色々な側面から成長の様子が伺えます。
そのうちのひとつとして、「絵」から見られる発達の過程についてご紹介します。
お子さんによって描き方や表現は
さまざまではありますが、
表現の発達は世界中の子どもたちで
共通していると言われています。

個人差が大きい絵の発達過程ですが、
一般的には4つの段階を経ていきます。
1.なぐり描き期(1歳~2歳頃)
なぐり描き期では、なにかを表現したいという意図を持って書いているわけではなく、クレヨンを握り、紙の上で動かすことで現れる跡に気がつき、その痕跡を楽しんでいます。



なぐり書きをする中で、『〇らしいやつ』『目、らしいもの』という表現の可能性に気がついてきます。


2.象徴期(2歳~3歳頃)
すると、〇に点が2つといった、円のようなものを「ママ」「パパ」「〇〇くん」と意味を持たせ始めます。また、複雑ななぐり描きができるようになり、色々な形が組み合わさることで、その絵に「えび」や「きのこ」などと、後から意味付けをするようになります。

そのようにして書いた絵を「きのこだよ!」と親にみせて反応を伺っているところも、可愛らしいところで、「本当だ。きのこだね」なんて言えば喜びますし、「これはなんだろう」といった顔やコメントをすれば、「ここが〇〇でね、ここが〇〇なの」などと形の特徴を表現するようになり、絵がよりそのものらしくなるように特徴を観察し強調するようになります。
(これはエビフライだそうです)



3.前図式期(3歳~4歳半頃)
この時期になると、より人の絵が人らしくなってきます。有名な絵として頭から直接手足が描かれる「頭足人」と呼ばれる図形があります。


(パパ。下にある3本の線はヒゲです)




また、ひとつの紙の中に、人や家、木、車など色々なアイテムが描かれるようになるのもこの時期です。その絵の中では、大小関係はなく、思うように表現されています。また、そこに描かれた絵には繋がりや因果関係、ストーリーはなく、描きたいものを描いているのです。その為、商品カタログのような紙面になることから、「カタログ期」と呼ばれることもあります。

4.図式期(4歳半~8歳頃)
この時期になると、1枚の紙に風景やカテゴリーが詰められたものなど、繋がりや因果関係、ストーリー性が表現されるようになります。また、5歳頃になると『地面』を描き始めるようになり、
外界をより詳しく理解できるようになってきます。
ただの動作による現象への遊びから、表現へと変化していく過程が絵から見えてくるのがとても面白いですね。

絵として表現をしていく為に、微細運動の発達が大切になります。絵を描くことだけでなく、道具を上手く操作し、思うように動かすことが出来るという経験が得られるかどうかで、その子の興味関心の幅に大きな影響を与えます。

興味関心の幅が、外界への意識、他者意識へと繋がるため、色々な遊びを通して心と身体を育むことが大切です。

スクールカウンセラーや教育相談所などで働く心理士さんは、グッドイナフ人物画知能検査のような人を描いてもらう絵や、風景構成法、バウムテストなどの描画検査でないと、絵らしい絵に出会うに機会は限定的で、掲示されている絵などを見る程度かもしれません。
新版K式発達検査2020や田中ビネーVなどでは、絵を描くことはなく、形の模写をする様子を見て、手と目の協調運動や微細運動、視空間認知などの力をアセスメントするようになります。

しかし、形の模写の中でも子どもの心の発達について考えることができます。田中昌人先生が提唱された「可逆操作の高次化における『階層―段階』理論」を学んでいく中で、丸を閉じる、十字(ばってん)をかくことの、心的過程を覗く手がかりになります。
ちょっと難しいお話になるので、気力があればいつかまとめようと思います。ご興味のある方は是非ご自身で学んでみて、私と一緒に子どもの発達を楽しみませんか?




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思考の発達 ピアジェの発達段階論を基に、これまでのまとめ











これまで、言葉と運動について触れてきたため、次は思考についてまとめようと思います。

発達心理学者のピアジェは、子どもたちの観察から、
思考が4つの段階を経て発達していくことを明らかにしました。
前回までの記事では、2歳頃までの発達について触れてきたため、
今回は生まれてから2歳頃までについての時期である、
『感覚運動期』を基に整理していきたいと思います。


1.感覚運動期
頭ではなく、身体を使って考える時期
みる、さわる、なめる、たたくなど、その結果生じる感覚を通して外の世界を知る
このような思考を、ピアジェは感覚運動的知能と呼び、さらに6段階に分けました。

第一段階:反射の行使(誕生~1ヶ月)
 原始反射により、外界との接触が始まります。(原始反射についてはこちら
 反射に過ぎなかった行為が、次第に能動的、適応的なものへと変化していきます。
 例えば、初めは把握反射に過ぎなかったが、
 次第にものを上手につかめるようになるような変化が見られてきます。


第二段階:第一次循環反応(1~4ヶ月)
 みる、すう、つかむ、聞くなど、単純な動作が出来るようになると、
 偶然それらが結びつくことにより循環反応が生じます。
 例えば、「親指が口元にふれる」「吸う」という動作が結びつきにより、
 指しゃぶりになっていきます。

第三段階:第二循環反応(4~8ヶ月)
 ものを見て、掴む、口元へ運ぶといった動作が見られる時期です。
 目と手の協応が成立することで、自分の身体以外の「もの」が、
 赤ちゃんの世界に入ってきます。
 ものを見て、掴んで、口元に運ぶことを楽しんでいると、
 ふとした時に、おもちゃを落としたとします。
 偶然それが音の鳴るおもちゃだったとき、
 ただ手にとること、掴むこと、なめることを楽しんでいた赤ちゃんが、
 手を話したことで、ものが落ち、音が鳴るということに気がつきます。
 これにより、自分の世界だけでなく、外の世界に関心を向けるようになるのです。
 この偶然の結果を、確認するようにして何度も同じ行動をとるようになります。

第四段階:第二次循環反応の協応(8~12ヶ月)
 手段と目的が分化され始める時期です。
 これまで獲得した反応パターンを協応させて、目的をかなえようとします。
 例えば、少し高いところにあるナニカを見つけたとき、
 寝返りやハイハイを駆使してナニカに近づき、
 掴む行為から、立ち上がる行為へとつながり、ナニカをとる目的を達成させます。 
 色々な反応パターンから、新しい掴まり立ちという行為を獲得していき、
 さらに行動の範囲を広げていきます。
 また、共同注意が見られる時期でもあります。(共同注意についてはこちら
 「あっ」といって、ナニカに対して指を指すと、大人はナニカを言い始める。
 このやりとりを楽しむ中で、『言葉』の存在により注意が向くようになります。


第五段階:第三次循環反応(12~18ヶ月)
 行為と結果の結びつきを『実験』しながら学んでいく時期です。
 ボール遊びでは、転がす・落として弾ませるなど、
 自分の行為が、どのような結果をもたらすのか、繰り返しながら、
 結果を予測できるようになっていきます。
 試行錯誤を繰り返すことで、新しい手段・方法が獲得されていきます。

第六段階:心的表象の発現(18~24ヶ月)
 『洞察』が始まる時期です。
 頭の中でイメージを浮かべて考えることが発達してくることで、
 これまで身体を使って行っていたことを、頭の中でするようになります。
 頭の中で考えて、より状況にあった行為をとることが出来るようになります。

感覚運動期の特徴として、対象の永続性の獲得があげられます。
第四段階頃から獲得され始めるものです。
例えば、赤ちゃんにおもちゃを見せ、興味を示した時に布で隠してしまうと、
8ヶ月くらいの赤ちゃんはおもちゃを探そうとせず、
おもちゃが無かったかのような振る舞いを見せます。
しかし、第四段階以降(8ヶ月以降)になると、
布をとっておもちゃを探し出せるようになっていくとされています。
しかし、この段階では、隠される場所が移動するのを見ても、
移動先ではなく、元の場所を探し続けてしまいます。
この二重の移動が理解できるのは、感覚運動期の最終段階になります。















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言葉の発達 言葉を育む上で大切なこと









乳幼児期のお子さんに関する相談で多いのが、「言葉の遅れ」に関する相談です。
ここでは、生まれてから1歳3ヶ月ごろの言葉についてまとめていきます。
生まれたての赤ちゃんは、「泣いて」都合が悪いことを周りの人に知らせてくれます。
そして、「誰かが反応してくれる」という経験から、自身が環境に影響を与えることが出来るということを知り、それが喜びや、有能感を得るきっかけとなっていると考えられています。
 生後6ヶ月頃になると、喜びや悲しみ、嫌悪、驚き、恐れなどの基本感情が芽生え、表情も豊かになっていきます。基本感情が育まれていくと、「泣き」の種類も変化し、怒りを伴った泣きや、悲しみの泣きなどが見られてくるようになります。
 くすぐり遊びや、いないないばあをするなど、親と赤ちゃん、大人と赤ちゃんの間で関係性が出来てくると「自分と人」という認識を持つようになります。また、おもちゃなど、物に興味を示すようになることで「自分ともの」という認識が育まれていきます。こうした、1対1の関係を「二項関係」といいます。
 9ヶ月頃になると二者の関係から世界が広がり、自分と人とそれ以外、自分とものと人、など三者の関係が育まれていきます。この三者の関係を「三項関係」といい、言葉の発達に置いてとても重要なものになってきます。
三項関係が育まれていくことで、指差し行動が見られるようになったり、大人が指さした方向を見たりするように、他者と関心を共有することが出来るようになっていきます。これを「共同注意」といい、会話の始まりであると考えられます。指差しを覚えると、「あっ」と声にして大人に知らせ、見ているものを共有しようとします。大体、1歳から1歳3ヶ月頃には多く見られるようになる行動になってきます。
この頃に多い相談としては、「おもちゃにしか関心がない」「テレビばかりずっと見ている」などというものです。以前にもお話をしたように、お子さんの発達には個人差はあります。とはいっても焦りや不安を抱くのは当たり前のことです。楽しく子育てをするために、子どもの相談が出来る場所で、今のお子さんにあった関わり方を相談されると良いでしょう。
言葉の発達を促す関わりとして一般的に言われているのが、「子どもが注意を向けているものにあわせて声をかける」ということです。自分が興味を向けているもの以外への関心が薄い場合、いくら「わんわん」を覚えてもらいたくても、見てくれなければ理解に繋がりませんし、「コミュニケーション」として認識されません。その為、子どもが犬を見ていたら「わんわんだね」と声をかけていくことが大切です。「自分と犬」という二者の関係に、声掛けをすることで第三者の存在を認識させていき、三項関係を育むことが出来ると良いでしょう。また、子どもが遊んでいるおもちゃを指さしながら「ぶーぶー」といったり、子どもの遊びを真似したりすることで、第三者の存在を意識させていくのも良いでしょう。
このようにして、子どもが「自分と人」「自分ともの」以外の第三者を意識できるようになると、「あっ」と指差し、大人が「わんわんだね」というこのやりとりを楽しむようになります。やりとりを楽しめるようになると、次に育まれてくるものが、大人の発している言葉です。「ママ、今なんて言ったのかな?」などのように、大人の話している言葉に注意が向くようになります。言葉に注意が向くことで、目の前にあるものと名前が一致するようになったり、赤ちゃんに「ばいばいー」と手を振ると「ばい」と言いながら真似をしたりするようになります。語彙を蓄えたり真似をしたりしながら言葉を学んでいき、その先に見られるのが「話す」という行為になります。
色々な刺激を受け取りながら、子どもたちは日々少しずつ、突然大きく成長をしていきます。その為、喋ってもらうために沢山の言葉を浴びせるのではなく、一緒に見ているものを共有しながら、言葉というコミュニケーションの道具を認識させていくことが大切です。
ここまで書いていて、心理学的視点が少ないなぁと感じたので、
次回は、前回まとめた子どもの運動面の発達と、今回まとめた言葉の発達をベースに、
愛着や発達に関する理論を絡めていこうと思います。

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こどもの発達は面白い

こどもが生まれてから2-3年までの間、こどもを見ていると毎日何かしらの変化が見られたり、出来ることや沢山練習した結果出来るようになったりすることが見られるようになります。特に生まれてから1年間は毎日驚いてばかりでした。
 生まれてすぐ(0ヶ月頃)は、原始反射と呼ばれる反応を楽しむことができます。

おもな原始反射

【吸啜反射(きゅうてつはんしゃ)】
 唇に触れたものを強く吸おうとする反応です。ミルクをあげるときに、唇に乳首をあてると、口を大きく開けて吸い付きます。下唇に人差し指をあてるだけでも同じような反応が見られて可愛いです。
【把握反射】
 手のひらに刺激を与えるとしっかり握り締めようとします。「赤ちゃんが握ってくれた!」と反応してくれたかのように見えるため、喜ぶ父母、ジジババは多いですが、自動的に身体が動いているだけです。
【モロー反射】
 大きな音や眩しい光、振動などの強い刺激を受けた時に、さっと両手を伸ばして広げ、しがみつくような姿勢をとります。朝、寝室の電気をつけると「なんだなんだ!?」と慌てふためくような様子が見られますが、自動的に身体が動いているだけです。
【歩行反射】
 赤ちゃんの両脇から支えてあげ、立つような姿勢をさせて両足を床につけると歩くように両足を動かします。めちゃくちゃ可愛いです。
【バビンスキー反射】
 足の裏をかかとから爪先に、下から上に向かってゆっくりとこすると、親指が甲の方にそりかえり、他の4本の指は扇のように開きます。あまりにも可愛いので一生見ていられますが、数ヶ月で見られなくなります。
どの原始反射もとても愛らしいのですが、数ヶ月で消失します(全てではないです)。
原始反射は脳幹・脊髄の中枢神経によるものと言われており、大脳皮質が発達するに伴って、自ら考えて身体を動かすようになっていきます。
発達は、何かを喪失する代わりに、なにかを獲得していくのです。
「等価交換だ!原始反射をくれてやるから随意運動をくれ!」ってやつですね。




ちなみに運動能力の発達にも法則があります。
①頭部から手足へ
 ・首がすわり(4ヶ月頃)
寝返りができるようになり(6ヶ月頃)
一人座りが出来るようになり(7ヶ月頃)
ハイハイをし始めます(8ヶ月頃)

私の場合、キッチンでご飯を作っていたら、子が泣きじゃくっていたため見てみると

 ・つかまり立ちをしていました(9ヶ月頃)
つかまり立ちをしてからはとても早く、
 ・自立したり、伝い歩きをしたり(1歳)
 ・スタスタと歩いていたずらをするようになっていきます(1歳6ヶ月)
多くの自治体では、1歳6ヶ月健診というものがあり、お子さんの発達や栄養面などの心配事を、相談することが出来る機会が設けられています。同じ年齢のこども達が、同じ場所に集まるので、ペンギン大行進のような光景が見られます。
我が子は「アンパンマンのぬいぐるみ」という、ファイナルファンタジーで言えばエクスカリバー並みの武器を携えていたので、羨望の眼差しを向けられていました。
②中心から末端へ
 胴体から肩、腕、手、指先の順に発達をしていきます。その為、胴体(体幹)が弱い子は指先の使い方にぎこちなさがみられることがあります。
③粗大運動から微細運動へ
 人は身体全体のバランスを必要とする運動が先にできるようになっていき、それから少しすると、手先を使う細かい運動が出来るようになっていきます。歩いたばかりの子にハサミの練習をさせても使えるようにならないのは、発達の流れに逆らっているからです。
以上3つの法則について触れましたが、これらは段階的に連続していくものではあるものの、個人差が見られるものであるため、「8ヶ月になったのに、まだハイハイしない」と焦る必要はなく、その子のペースでちゃんと成長をしているので、見守ってあげてください。しかし、すこしでも心配なのであれば一人で抱え込まず、かかりつけの小児科や、教育支援施設などで相談することもオススメです。
ここまで書いていて、集中がきれてしまったのと、
お喋りな我が子が、どのようにしてお喋りになっていったのかという過程を整理するため、
次回は言葉の発達について触れていこうと思います。
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