アタッチメント行動チェックリスト(親用)の信頼性・妥当性の検討 愛着 2022年01月25日 著者:宮戸美樹・福榮太郎,青木豊 心理臨床学研究2020年第38巻第1号の39ページに掲載された論文です。 この論文は、 一般養育環境にある子どものアタッチメント行動を評価する尺度の妥当性と信頼性を検討することを目的としています。 アタッチメント(愛着)を測定する手法として、 Strange Situation ProcedureやQ-sort法が国際的に確立されていますが、それを実施するためには資格や設備、長時間の行動観察が必要で臨床現場での活用が難しいという点を問題としてあげています。 青木豊先生も アタッチメント行動チェックリスト(ABCL)を作成していますが、 作成の調査対象が施設で養育を受けている、アタッチメントに問題が生じている可能性が高い子どもに限定されていることや、保護者の代わりに施設職員が評定者となっているため、一般的なものではなく、施設版ABCLと言えるチェックリストであると指摘しています。 そのため、この研究では、 幼稚園・保育園に子どもが通っている保護者を対象に質問紙調査を行っています。 対象年齢は12ヶ月から71ヶ月の子どもを持つ保護者に行ったようです。 今回のABCLでは、 3因子構造が抽出されました。 第1因子『こころの理解』 乳幼児が養育者の意図や意志を理解しそれに協力できていること 第2因子『感情調節不全』 乳幼児の感情調節の機能が不全であることを示す 第3因子『安全基地』 乳幼児が養育者を安全基地として利用していることを意味する 得点が高いほどそれぞれのアタッチメント行動を示す傾向が高いことを意味するようです。 今回の研究では、 尺度作成までになりますが、 今後の発展が楽しみな研究であった為、 まとめてみました。 こころの理解なんかは、 認知的共感性のひとつとして考えられている 他者視点取得との関連はありそうですね。 また、愛他的行動や利他的行動との関連についても見てみたいものです。 感情調節不全は、 特性や養育態度など色々な要因が関係してそうなので、 より細かい研究をしていく必要はあるのかもしれません。 [0回]PR
"一般他者"を想定した愛着スタイル尺度 ECR-GO 愛着 2021年09月11日 現在、 成人の愛着スタイルを質問紙で測定する際に 日本で1番信頼性・妥当性が高いと考えられる論文です。 Bowlbyが提唱した内的作業モデルを 【見捨てられ不安】と【親密性の回避】という2つにより測定しています。 また、各尺度の高低に分けることで、 愛着を4類型(安定型、とらわれ型、拒絶型、恐れ型)にすることが出来ます。 内的作業モデルとして扱うことも 類型論として扱うことも出来るのが この尺度の特徴になります。 中尾達馬・加藤和生 2014年 "一般他者"を想定した愛着スタイル尺度の信頼性と妥当性の検討 Examining reliabilities and validities of adult attachment scales for "the generalized other" 論文はここをクリック [2回]